人気ブログランキング | 話題のタグを見る

笑っちゃう辛さ

 朝っぱらから電話が鳴る。こういう電話は、概ね、一緒にクレーム
に悩まされたママなのだ。(また事件か!)と飛び上がって、テレビ
の音量を消して受話器をとると、やっぱり、そうだった。
「どうしたの?!」
ときくと、昨日の保護者会でのクレーマーとのやりとりについて報告
というか愚痴というか、ちょっと話したかったようだった。へーえ、ふ
ーん、とうなずいていたら、だんだん、あちらも興奮してきて、
「そうだ、帰りにひどい目に合ったのよ!」と言う。その内容が、本人
が辛かっただろう、と思えば思うほど、なぜか面白くて、私は爆笑し
てしまった。
 昨日、保護者会が終わる頃は冷たい雨。しかし、彼女は自転車だ
った。保護者会が始まる頃は曇っていたので、半数くらいの人は自
転車で来ていたのだ。子供を乗せてさっさと帰ろうと思ったら、子供
が、よりによってクレーマーの子と一緒に遊んでいた。仕方がない
のでクレーマー親子と4人で一緒に帰ってきたのだという。そして、
そこで、4人の「しりとり」遊びが始まった。それが、悲劇の始まりだ
った、と言う。以下、私たちの会話。
「しりとり自体はいいんだけどさ、あっちの子はこだわるわけよ。た
とえば、『わ』だと、ワニでいいじゃん!って思って、色々ヒント出す
んだけど、『そんなんじゃ嫌だ。もっと違うの言いたいの』と言って
ずーっと考えているわけ。さらに、考えるたびに親子で立ち止まっ
て一緒に考えて、『そうね、わ、は何があるかしら?あれかな?
これかな?』って、2人で立ち止まって長々と考えてるから、私な
んか雨にぬれちゃって、家にはなかなか帰りつかないし。」
「へーえ。」
「で、うちの子が誰かの名前を言うと、『しりとりで名前はなし!』
とか言って、なかなか先に進めなくて、そのくせ、自分は、『と、と
と・・・トイ・ストーリー!』って言うんだけど、それ、映画の名前だ
ろ!って思って苛々しちゃってさー」
「ははははは!それ、面白いじゃん。」
「さらに、それを、ママが、『すごいね。今日はいっぱい色々な言
葉を思いついたね。えらいね。』って褒めながら、また立ち止まる
わけよ・・・」
「見えるようだよ~」
「で、私は左半身、雨でびしょぬれで、病院に行きたかったのに
遅くなっちゃったし。」
「それはご苦労さまでした。わはははは。悪いけれど、とっても
面白い話しだよ~。風邪をひかなくて良かったね。」
 別に人の不幸が面白いというレベルではないのだが、何という
か、この程度の苦労は面白い。さらに、本人も半分ウケをねらっ
て話しているのか、あちらの親子の真似がはまっていて、さらに
そこに無情にも降り続ける冷たい雨、雨、雨・・・人の苛々に気
付かない、のんきな和やかクレーマー親子。何だろう、この面白
さは。
 チャップリンじゃないけれど、悲劇は喜劇なんだよな~。ってほ
どの大悲劇じゃないけれど、私は大いに笑って、あちらのママも
「笑ってくれて、ありがと。」
と電話を終えたのであった。笑わないとやってられないわね。
by akira_dai | 2011-12-07 10:51

AKIRAの日常、考えたこと、など。平凡です。

by akira_dai