2012年 05月 16日
一瞬、同じ気持ち
というのは自分が何も出来ないだけに、本当にイライラす
る。
そんな不機嫌な気持ちで近所のスーパーに買い物に行っ
たら、レジ袋に買い物したものを詰め込んでいる時に、カ
ードの勧誘の兄さんが近付いてきた。
「こちらのカードは、毎日のお買いものが1%引きになり
ますよ。」
私はイラッとして、
「もう持ってます!」
と大ウソをかましてしまった。明らかに、嘘をついたとわ
かっただろうな・・・こうして冷静になると申し訳なくて
頭が下がる。
「それは・・失礼いたしました。ありがとうございます。」
と去っていく兄ちゃん。
と、その直後、私の横で爺さんがこけた。
「大丈夫ですか?!」
と、まったく同時に、こけた爺さんに声をかける私と兄ち
ゃん。
きっと、私の顔からは、さっきまでの不機嫌な怖い表情は
去り、そこには天使のように優しい慈愛の満ちた表情が浮
かんでいたに違いない。
さらに近くにいたオジサンが、爺さんが落とした納豆を
拾う。幸い怪我はなく、買い物も納豆だけだったので、大
惨事にはならずに済んだ。
兄ちゃんはレジの責任者らしいオバサンに、
「散乱したものは無いようです」
と報告し、カードの勧誘に戻った。
私は袋に物を詰め終わって、爺さんを追ってスーパーを
出た。爺さんはゆっくりと、しかし、しっかりと、納豆を
自転車のカゴに入れて去って行った。一安心。
冷たくあしらってしまった兄ちゃんと、一瞬だけ、心が
同期したような気がした瞬間だった。
by akira_dai
| 2012-05-16 16:26