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そのときには

 母は78歳だが、ありがたいことに、今の
ところ元気で、語学やコーラスなどの老人ク
ラブに出かけ、友達を増やし、さらに、地元
のママ友と週に数回、お茶をしてお喋りをし
て・・・という、優雅な?生活を送っている。
年齢が年齢だけに心配はしているものの、元
来、明るく楽観的な人で、子どもたちに心配
をかけまい、ということもあるのか、一人で
がんばっている。
 その母からよく聞くのが、老後の夫婦の大
変さ、である。特に大変なのが妻の方である。
とにかく、夫は、退職後、何もできない人が
多く、家事を手伝ったとしても、かえって妻
の手間が増えるようなことになり、また、女
性のようにお稽古に出かけることもないので
一日中、家でごろごろしていて「邪魔」だと
いうのである。
 さらに、束縛夫もいる。お茶やお稽古中に
30分おきくらいに、
「今、どこにいる?早く帰ってこい」
「まだ帰ってこないのか」
と電話がかかってくるというのだ。若いとき
にはそんな夫がかわいかったのかもしれない
が、70にもなると鬱陶しいだけである。
 もちろん、痴呆の夫もいる。女性も痴呆に
なるけれども、お稽古やお茶に出かけられる
女性は元気だから、その愚痴が「夫の介護」
になる。私たちが想像するような寝たきり老
人や徘徊老人、その他に、朝からお酒を飲ん
でしまって正体がなくなるという困った人も
いる。
 この「お酒を飲んで正体がなくなる」可能
性はもしかしてうちのパパにもあるのではな
いか?!と本人に話してみたら、
「ははは、大いにある!そしたら遠慮なく施
設に入れてくれ!」
と言うので、
「私はそうなったら離婚して出ていきます」
と返したら、
「そうか。出ていくのか。そうすると、オレ
は自由に一日中、飲めるのか。素晴らしい
QOLだ!」
と笑った。
 しかし、私は本気だ。痴呆や老いで支え
合うのは当然としても、こちらが、
「朝から飲むのはやめようよ」とか
「体のために、もう少しこうしようよ」とか
いう話になったときに、不機嫌になられた
り、怒鳴られたり、会話がなくなったりす
るのは絶対に嫌だ。
 というのは、そういう苦労を親で見てき
たし、他でもたくさん話を聞くからだ。
まさか、うちのパパがそうはなるまい、と
思ってはいるけれど、そうなったときに、
妻たちは口汚く夫の悪口を言う。
「こちらは心配して言っているのに、
何も言うことをきいてくれない」
「会話がない」
「何も悪いことを言っていないのに怒鳴
られる」
「作った食事を食べないくせに、ずっと
飲んでいる」
「心配で眠れない。いっそのこと、死んで
ほしい」
などなど。
 そういうのを聞くと、(あんたら、夫の
年金で生活してるんじゃないの?)と言い
たくなるのだが、そのストレスが想像でき
ないくらい大きいことも頭ではわかる。
 というわけで、私もそうなるかもしれな
い。でも、夫の年金に頼りながら、そんな
ことを口にするくらいなら、離婚した方が
まし。だから、
「私はそうなったら出ていきます」
と今のうちに公言しておく。同じ大学の
女の子でも、親が離婚を経験していて、
「そりゃ、そうだよ」
という子もいる。
 それくらいの緊張感があった方が良いん
じゃないですかね?だから、できるだけ長
く働いて、
「いつでも離婚できるようにしておかなく
ちゃね。」
と、不幸な境遇の女子が少なくない同じ大
学の友人どうしがで盛り上がるのである。
たとえ、今は問題がないとしても。

by akira_dai | 2016-10-13 08:16

AKIRAの日常、考えたこと、など。平凡です。

by akira_dai