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電車男

 ここ数日、電車で、「電車男」の映画とテレビドラマの吊広告を
目にする。(へーえ、とうとう、あの電車男が映画にまでなったの
か。)と感慨深い。こんなことになるのなら、自分も電車男に参加
しておけば良かった、と思う・・・といっても、当時は「電車男」の存
在を知らなかったわけですが。
 「電車男」とは、かの有名な2チャンネルの掲示板にたったある
スレッドで、「電車男」というニックネームの彼が、電車で酔っ払い
に絡まれている女性を助けたことをきっかけに、どうやって彼女に
お近づきになるか、というような相談を、「今日はお礼をもらったの
だが今後どうしよう」とか「今日はこんなことを言われたけれど、デ
ートに誘ってみようか」などと、その時その時、タイムリーに掲示
板に書き込み、それに対して、全国の2チャンネラーが、「そこは
こう誘え!」「食事に行くならあの店が良いよ。」「こういう時の女性
の心理はこうだから自信をもって!!」などなどと、応援しつつ茶
化しつつ、で、結局最後はハッピーエンドになって、そのスレは終
わった・・・という、まあ話自体は珍しくも面白くも何ともない。多少
面白いのは、「電車男」が2チャンネルに書き込むくらいのオタク
であるということと、その相手の女性は勝手に「エルメスさん」と
名づけられ、本人の知らないところで大勢が盛り上がった、とい
うことくらいか。
 しかし、ネットならではの、リアルタイム性が面白いし、全国老
若が同じ話題で盛り上がったという非常に不思議なシチュエー
ションが良いよね、と思う。つまり、電車男が主役ではあるもの
の、その物語には、全国の2チャンネラーという大勢の登場人物
がおり、それぞれが、色々な時間に色々な場所で色々な自分の
生活や悩みを抱えながら、電車男の恋の進展を楽しみに、一人
パソコンに向かって掲示板を書き込むという、そしてその書き込
む人の人数が半端でなく大勢いる、という、そのあたりのドラマ
にこそ面白みがあるのだ。
 なんて語ってはみたものの、私自身は実はそんなに「電車男」
に興味なく、本屋で本を見かけても買おうと思わなかったし、せい
ぜい、(これの印税って誰に入るのかしら?)と不思議に思ったく
らいである。いや、それよりも、最近、思うのは、(この「電車男」
という作品(?)は、きっと歴史に残るだろう。徒然草や枕草子の
ように。)ということ。だって、これぞ、ネット社会でうまれた文化だ
よね。100年後にもしもまだ日本人が健在で、今と同じような歴
史の授業があるのなら、きっとこんな試験問題が出ると思う。
「1990年代後半から2000年代前半、インターネットが普及す
る中、その性質を利用した掲示板小説なるものがうまれ、映画
化、ドラマ化された。代表的な掲示板小説の名前を挙げよ。」な
んてね。他のロングセラーや過激な小説の名前は忘れ去られて
も、きっと「電車男」の名前は残る。ストーリー性ではなく、ネット
という背景のおかげで。・・・なんて私は想像するのです。
by akira_dai | 2005-06-03 23:16

AKIRAの日常、考えたこと、など。平凡です。

by akira_dai