人気ブログランキング | 話題のタグを見る

海外で出会った人たち

 尖閣諸島の問題があったこともあり、中国で働いている
知人のことを思い出してメールをしてみた。案外、あちら
の庶民の間では大騒ぎになっていないらしい。それよりも
メールしてみたら、彼が、来週末に一時帰国すると言う。
中国はGWみたいな連休が10月にあるのだ。何と良いタ
イミングでメールしたのかしら、私!
 じゃ、いつものメンバーで飲みに行きますかね、と、早
速、メール連絡してみたところ、元の会社の一人から、
「今、出張でシアトルにいます。飲み会はOK」
という一行だけの返事がきた。
 リストラされて、子供がいるし仕方がない、という思い
はあるものの、たった今、元同僚がシアトルに出張してい
るというリアルなメールが羨ましくて、私は少しブルーに
なった。
 シアトルは入社した年の12月に、初めて海外出張した
街である。当時、私は英語もまだそんなに話せなくて、仕
事というよりは単なる研修のために行ったのだが、飛行機
はエンジントラブルで別の空港に降りちゃうわ、そこから
の乗り継ぎがうまくいかなくて、荷物だけ先にシアトルに
行っちゃうわ、一体、どうなるの?!と不安だらけの、ひ
どい始まりの出張だった。しかも、12月だったから、ア
ンカレジでは昼になっても太陽は地平線すれすれで、どよ
~んと暗くて、どう逆立ちしても明るい気分になれない雰
囲気で。
 新人だったから仕事らしい仕事はせず、もっぱら人のプ
レゼンを聞き、接待を受けるばかりの毎日だったけれど、
そこで会ったロスさんが日本語が上手で、私とはいつも日
本語で話してくれて、あまりにもそれが自然だったので、
ロスさんが来日して英語でプレゼンをしていた時にはかえ
って、そのアメリカ人らしさが不自然に感じたものだ。
 ロスさんはギターも好きだったから、大学の時にバンド
でピアノを弾いていた私と話しが合って楽器屋さんに連れ
て行ってもらって、そこで横浜にいたという店員さんとも
仲良しになって、アメリカなのに皆、日本語で喋っていて、
とても楽しかった。招待された彼の自宅には可愛い奥さん
と小型犬がいて、夫婦というよりは恋人同士みたいな二人
で、当時、結婚したくなかった私でも、こういう生活なら
いいかなあ、と思ったものだ。彼はアメリカ人だけれどイ
タリア系のアメリカ人で、作ってくれたパスタもとてもお
いしかった。そうそう、彼らは、アメリカ人ということよ
りも、自分のルーツがどこの国なのか、ということにも、
すごくこだわるのだ。
 それからシアトルの工場の製品の担当からはずれてしま
ったので、二度とシアトルには行かなかったし、ロスさん
とも会っていない。ロスさん、今頃、どこで何をしている
のかなあ・・・なんて、私が思い出すことがあることも本
人は知らない。
 海外の仕事で得たものはたくさんあるけれど、実は仕事
よりも、出会った人のことを覚えていて、時々、どうして
いるのかなあ、と思い出す。その後、あちらで知り合った
人たちは、ロスさんよりも頻繁に会って一緒に仕事をした
ものだけれど、彼らも私のことを思い出してくれることが
あるのかなあ、と、ちょっと寂しく感じる。でも、アメリ
カという国は色々な人種がいて、皆、個性的で、本当に面
白かったし、会えて良かったな。
 なんて考えていたら、シアトルの工場で働いている全く
別の知り合いを思い出した!元同僚に、
「○○に会ったら、よろしく伝えておいてね。」
と、やはり一行だけの短い返信を、今、したところ・・・。
by akira_dai | 2010-09-27 23:18

AKIRAの日常、考えたこと、など。平凡です。

by akira_dai