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小さくて大きな問題

 最近、子供の友達関係がちょっと複雑になってきたせいか、
自分の子供時代のことがフラッシュバックのように鮮やかに
蘇ることがある。
 昨日は町探検という行事で、子供は仲良しのリョウ君が率
いるグループに入り、学区内で自分たちが決めた場所を探検
することになっていた。いつものごとく気が強いリョウ君は、
「俺がリーダーでいいよな!」
と仕切って有無をいわさずリーダーになり、さらにサブリー
ダーは家の子も含めてじゃんけんで決めて、アキラ君という
ことに決まっていた。
 ところが、いざ出発という時になって、突然、リョウ君が、
「サブリーダーをもう一度、決めるから、お前ら、全員でじ
ゃんけんをしろ。」と言いだし、他のメンバー3人はおとな
しく従ってじゃんけんをしたという。ところが、もう一度、
アキラ君が勝った。そうしたら、何と、
「アキラじゃダメだ、ユータやれ。」
と、結局、うちの子がサブリーダーに指名された、というの
だ。リョウ君とは仲良しだから、うちの子にサブリーダーを
やってほしかったのかもしれないが、うちの子は、
「変だよ。アキラに決まっていたのに、おかしいよ。」
と帰ってきてから口をとがらしていた。しかし、リョウ君は
強いし口が達者だから、誰一人抗議できず、うちの子も反抗
できなかった、と言う。サブリーダーになってはりきってい
たアキラ君の気持ちを思うと辛くて可哀相で、
「これからは、おかしいな、と思ったら、ちゃんと意見を言
えるといいね」
と注意した後、こういうことって、本当に子供の時は多かっ
たな、と私も思いだした。
 あれは小5の時だったか、クラスで数人の班長を決めて、
その班長が数人を選んで班を構成する、という試みがあった。
実際は好きな人同士、ということだ。私はいつも仲良しの3
人グループで班になるものと思っていて、そのうちの1人、
チカちゃんが班長に立候補したので、(あの班になるんだろ
うなあ)と何となく思っていた。チカちゃんも、大分前から
「私はAKIRAちゃんとナナちゃんを指名するからね。この
ことは内緒ね。」
と言っていて、そりゃそうだよね、と3人で普通に盛り上が
っていた。と・こ・ろ・が。
 班を決める当日の昼休み、突然、別の班長のミホちゃんが
私とナナちゃんの元にやってきて、
「まだ秘密だけれど、私、二人を指名しようと思うの。よろ
しくね。」
と言ってきたのだ。ミホちゃんは毎年学級委員に選ばれるよ
うなしっかり者で優しくて何でも出来る人気者だったので、
私は自分が選ばれたことにとても驚いて嬉しさもあったが、
私とナナちゃんは顔を見合わせて、チカちゃんのこともある
しどうしよう、と、とても悩んでしまった。しかも、昼休み
が終わった後の5時間目が班を決める学級会。悩んでいるう
ちに、どんどん時間が経ってしまう。
 大人になった今だったら、いくら内緒と言われても、4人
で話し合うとか、先着順とわりきってミホちゃんを断るとか、
そういう勇気も知恵もあっただろう。しかし、当時、私とナ
ナちゃんは、二人で、「どうする?どうする?」とおろおろ
するだけで、班を決める時間を迎えてしまった。
 数人の班長が教室の前に横一列に並び、一人一人が、自分
の班のメンバーにしたい同級生の名前を発表する。チカちゃ
んよりもミホちゃんの方が順番が先で、私たちの名前が呼ば
れた。その時のチカちゃんの表情が私は今でも忘れられない。
驚いたようにちょっと顔を歪めて、でも何とか泣かずに、続
いて、彼女も私たちの名前を呼んだのだった。
 結局、班長同士がじゃんけんで決めたのか、話し合いで決
めたのか覚えていないのだが、私とナナちゃんはミホちゃん
の班に決まった。いつもよく遊んでいたのはチカちゃんだっ
たので、何とも言えない罪悪感のようなもので胸が押し潰さ
れそうだったことを覚えている。
 その後もチカちゃんとは今に至るまでずっと仲良しなので、
ありがたいな、良かったな、と思うのだけれど、彼女はこの
件を覚えているだろうか。こういう気まずい思い出、どうし
ていいかわからなかった幼い自分のことを思い出すと、情け
ない半面、カワイイような。
 息子の話しを聞いていると、彼はたった今、そういう毎日
を過ごしているんだなあ、と、実感する毎日だ。些細なこと
だけれど子供にとっては大きな問題。乗り越えて成長してく
れるといいなあ、と思う。
by akira_dai | 2011-06-13 23:46

AKIRAの日常、考えたこと、など。平凡です。

by akira_dai