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地井さん、さようなら

 「ちぃ散歩」が人気だった地井さんが亡くなってしまった。
番組への復帰を信じていただけに残念だし悲しい。
 高校の時、私は地井さんを間近に目にしたことがある。友
達の葬儀でのことだった。
 高校時代、毎年のように、小学校時代の同級生の葬式があ
り、その友達が亡くなったという訃報を受け取った時には、
(え?また?!)という感じで、正直、うんざり気分だった。
 その前の年に、同じクラスで私立の名門中に進学した男子
が変死していて葬儀に参列していたし、さらに、その前の年
には、隣のクラス、1組の男子が骨肉腫で亡くなっていた。
そして3年目、今度は3組の男子の葬式である。ある意味、
そういった葬式が続いたおかげで、毎年同窓会のようになり、
クラスの団結がより深まったのかもしれないが、こんなに、
10代で同級生が亡くなる年代があるものだろうか。
 葬式に参列した小学校時代の恩師は、
「嫌な年です、本当に」
と悲しんでいたし、4組の連中は、
「次は俺たちのクラスで誰か死ぬな」
と、大真面目に怖がっていたものだ。
 そんな騒ぎの中、私は家がすぐ近所だったし、今まで亡
くなった男子の中でも、最も近い存在だった彼の葬儀に、
すぐに駆けつけた。既に亡くなった2人の男子とはほとん
ど口もきいたことがないが、彼は、同じクラスになったこ
とも無いのに、中学時代に、よくまあ、私をからかいに
教室に現れ、階段で、理科室で、音楽室で、時には下校の
帰り道、ちょこちょこと隠れながら、友達と一緒にくだら
ないことを言ってからかいながら、やたら関わってきた子
なのである。今思えば、「AKIRAをからかう会」があった
のでは?と思うような一団のうちの一人で、彼は最も、新
入りだった。
 自宅での葬儀だったので、玄関を入ってすぐの小さな祭
壇に手を合わせて、やりきれない気持ちで外で友達と話し
ていると、そこに、地井さんが出てきた。
 当時、地井さんは「太陽にほえろ!」に刑事役で出演し
ており、まさに、ドラマのオープニングで決めポーズを
決めた時のような精悍さで、きりりと登場した。風が吹い
てきたような、一瞬、時間が止まったような、ある種のオ
ーラがあった。
 3年連続の友達の葬式で落胆と恐怖を感じていた私は、
一瞬、そういった感情が全部吹き飛んで、「無」になっ
てしまった。(テレビに出ている人?なんで?)という、
まったく違う次元に思いが飛んでしまったというか。
 地井さんは、しかめ面で、やりきれないような表情で、
外の空気をちょっと吸っただけで、私が驚いた顔で見て
いるのに気づいた、、ような気がした。それで、出てき
てすぐに、また、玄関の向こうに引っこんでしまった。
(自分より若い、10代の親戚が亡くなってしまって
私以上に、嫌になっちゃう、という気分なんだろうな)
と感じたけれど、祭壇のわきで、小さく背中を丸めて
泣いていたお母さんの姿を思い出して、(あんなに
頼もしい地井さんがついていてくれるなら、大丈夫
かな。)と、少しホッとしたものだ。
 あれから25年以上経って、昔、俳優に専念していた
時以上に人気が高くなった地井さん。「ちぃ散歩」で、
あの時の、しかめ面とは違う楽しそうな地井さんを見る
のが嬉しかった。楽しかった。
 同級生の死から28年、とうとう、地井さんも逝って
しまった。とても寂しい。どんなに元気で頼りがいがあ
った人も、年老いて逝ってしまう。当時、感じた恐怖よ
りも寂しさが先に立つ。
 天国で、先に旅立った同級生に迎えられて、楽しく、
お散歩を続けられるといいな、と、同級生と一緒に過ご
した子供の時のような気持ちで思う。
by akira_dai | 2012-06-30 23:57

AKIRAの日常、考えたこと、など。平凡です。