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心強いご近所さん

 昨日の朝、登校班の待ち合わせ場所で、皆が空を
見上げていて、真面目にUFOでもいるのかと思っ
てワクワクしたのだが、そこに見えたのは、ワクワ
クするものではなく、モクモクの白い煙だった。
「あれ、何かしら」
「何か、変だよね」
「煙かな、湯気かな」
「たき火かな」
と言っている間に、その煙はみるみる黒くなり、
だんだん、住宅街の空を覆うように大きくなり、
いよいよ、「これは変だ!」と大騒ぎになった。
 とりあえず、興奮ぎみの子供たちを学校へと追い
やり、友達のお婆ちゃんが、同じように火事を見て
いた工事現場のオジサンに、あれ何かしら、ときく
と、オジサンは、ごく普通に、
「火事だよ~」
と答えた。
 登校班の待ち合わせ場所から見ると、方向が私の
家の方に見えたので一瞬ギョッとしたけれど、その
オジサンによると、「道の向こう側だよ。」という
ことで一安心。とはいえ、ご近所だから、やはり、
気が気でない。
 30分くらい経って、ゴミを出すために家の前に
出ていくと、今度は隣近所のおばちゃんたちが飛び
出してきて、「火事よ」「あそこのお婆ちゃん、歩
けないのよ」「どの家なの」と騒いでいた。消防車
が続々と到着し、バスがやっとすれ違えるくらいの
車道は消防車でうまってしまった。
 家の裏に住むおばちゃん、実は、我が家も元はと
いえば、このおばちゃんの土地だったのだが、その
おばちゃんが私とお向かいのお母さんを見つけて、
「ほら、あそこの狭い路地の家だよ。絵具屋さんと
かあるところよ。歩けないんだよ、あそこの婆ちゃ
んは。助けに行こうかしら。でも、邪魔だよね。」
とオロオロしている。消防車がとまっている近くの
飲み屋からは、昔、車のパンクを助けてくれた、金髪
の、まさに「ママ」が飛び出してきて、現場を確認し
に走って行った。
 とりあえず、場所だけ確認してみようと、近所の
おばちゃんたちと一緒に車道まで出ると、煙はさら
に黒く、高く、広がりながら、空へ上っていた。怖い
し、ゴムの焼けるような匂いもひどくて胸が悪くなる。
 それにしても、こういう怖い時、大騒ぎの時、ご
近所で、こうして家の前に集まって、情報を交換し
たり、「怖いですね」と共感したり、「気をつけま
しょう」と励まし合ったりするのは、何のためにも
ならないようで、実は、心強いものだ。東京では隣
に住む人の顔がわからない、と言うが、この辺りは
自治会が機能していて、隣近所は顔がわかるし、ち
ょっと世間話も出来る程度に付き合いはある。自治
会の消防隊もあるくらいで、息子の友達のパパは
その消防隊で、お祭りから、防災訓練から、相撲大
会から、地域の仕事で大忙しだ。
 引っ越してきた時には、こういう付き合いが面倒
だな、マンションが気楽だったな、と思ったけれど、
震災の時、火事の時、こんな風にお婆ちゃんや、お
ばちゃんたちと言葉を交わすだけで、何となくホッ
としている自分がいることにも気付く。ありがたい
ことだ。何だか、この街に認めてもらえている感じ
がする。
 そして、今朝、また、いつものように登校班の待
ち合わせ場所に行くと、友達のお婆ちゃんが、
「知り合いの家だったわ。火元は二階の和室で、お
そらくご主人の煙草みたいだよ。でも1週間は市の
施設に泊まれるから、少しゆっくりできるんですって。
お隣もちょっと焼けちゃったそうだから大変だよね。」
と色々教えてくれた。同じ登校班のママたちは、
ふんふん、と頷きながら、また、
「気をつけましょうね」
と誓い合う。
 お祭りのような楽しい時だけでなく、こんな事故・
災害の時にも、(地元民っぽくなってきたなあ)と
実感できることが、ちょっと心強い。もちろん、災害は
起きてほしくないけれど。
by akira_dai | 2012-11-28 20:04

AKIRAの日常、考えたこと、など。平凡です。

by akira_dai