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菩提寺の存在

 今年は父の七回忌で久しぶりに法事に参加した。
普通は、七回忌、一三回忌など、節目の法事しか
行わない家が多いと思うのだが、私の実家は、毎年、
各親戚の命日に法事を行う。だから、子供の時は、
年に3回くらい法事があった。2月と8月は、複数
の人が亡くなっているから1回の法事でまとめて
お経をあげてもらっていたものだが、それでも、年
に2、3回あった。
 父が亡くなってからも、その慣習は変わらず、
実家近辺に住んでいる親戚は毎年、集まっている
らしい。が、さすがに曾祖父や曾祖母の法事はなく
なり、親戚も減り、寂しい法事となっているようだ。
 父の七回忌も、祖父が生きていた頃の法事と比べ
ると親戚の数もぐっと減って寂しくなった。私にと
っての法事は、祖父が生きていた時代、祖父の家に、
父の兄弟はもちろん、祖父の兄弟も、親戚全員が集
まって、にぎやかに行うものだったのだ。法事の意
味がわからない子供には楽しみな行事であると同時
に、何より優先しなければならない、という意味で、
面倒な行事でもあった。
 そんなわけで、菩提寺との関係は深く、現在、隠
居しようとしているお坊さんは、私が生まれた時か
ら世話になっているお坊さんで、今日の話によると、
昭和37年から実家でお経をあげているという。
確か、父と同じ年齢だから、もう80歳近い。しか
し、今日も、後継ぎの若いお坊さんと二人で、父の
ためにお教をあげてくれた。
 そして、今日、そのお坊さんが、最後の説法で、
「私が初めて、先代の養子に入って、後を継いで
法事にうかがった時、こちらのお父さん(私の父)
のお婆ちゃんが、”良い後継ぎができて良かった、
良かった”と本当に喜んでくれて、それが、その
お婆ちゃんはその後、すぐに亡くなってしまい、
それが私にとって初めての葬儀で、悲しくて、
途中でお経が途切れてしまった。」
と話してくれた。さらに、
「こちらのお父さんは、そのお婆ちゃんの血を引
いたのか、物静かで、いつも話をきいてくれる優
しい優しいお人柄でした。」
と言ってくれた。
 子供の頃から知っているお坊さんが、そんな風
に話してくれると、本当にありがたく感じる。
 実は、父が亡くなった後、葬儀の依頼のために、
このお寺を訪問した時、お坊さんが自ら門を開け
て、「どうぞ、どうぞ」と私と母を迎えてくれた。
数ケ月間、緊張をしながら看病を続けていた私た
ちは、疲れもあって、ひどく憔悴していたし、
親戚とのもめごともあって悲しいという感情以上
のものがあったのだが、子供の頃からよく知って
いるお坊さんが優しく迎えてくれた時、私は心底、
ホッとしたのだ。何だか安らぐような、辛い気持
ちがやわらぐような、そんな感じ。
 あの時ほど、菩提寺の存在をありがたく思った
ことはない。祖父が存命の頃から、私が生まれる
前から、実家まで毎年通ってきてくれたお坊さん
の存在は、今も尚、身近な人が亡くなる一番辛い
ときに私を支えてくれる。
 今時は、付き合いのあるお寺が無い家も多いの
かもしれないが、先祖代々、ずっとお付き合いの
ある菩提寺の存在は、本当にありがたいものだな、
と、改めて思った。
by akira_dai | 2013-02-10 23:19

AKIRAの日常、考えたこと、など。平凡です。