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若い頃の大失敗

 昔、会社で一緒に仕事をしていた同期の男性が、
昨晩、かっこいいシューズの写真をFBにあげてい
たのでコメントを書いていたら、息子が横からの
ぞいて、
「この人、だーれ?」
ときいてきた。
「会社の同期だよ。彼が営業のときに、よく一緒に
組んで客先をまわってたんだ。」
と簡単に説明した後、(あれは酷いことをしたな)
という事件を思い出してクスクス笑ってしまい、そ
れを家族に話すはめになった。
 入社してすぐ、彼は地方の営業所に配属され、私
は月に1回程度、日帰りか1泊でその営業所近くに
呼ばれては、彼の技術サポートをする仕事をし、夜
は一緒に食事をし、夏休みになれば同期だから彼を
含めた仲間と一緒に海に行くという、同期の中でも
割と近い距離で付き合っていた。
 私は忙しかったので、同期の中で誰が誰を好きと
か、誰が誰と付き合っているとか、そういう話題に
はまったく疎くて、自分自身も興味なく、夏の海で
も冬のスキー場でも、
「akiraちゃんも、ちょっとは恋愛に参加しなさい
よ!」
と同期の女の子たちに叱られていた。とにかく、
疎いし鈍感だった。
 そして、あれは入社して4、5年も経ち、いよ
いよ、恋愛中の同期どうしが次々と結婚をして、
女子メンバーは去っていくという時期、いつもの
ように彼に呼ばれて地方で仕事をしていた帰り、
車の中で、彼が私に打ち明けた。愛の告白では
ない。
「実はさ、今度、Aちゃんと結婚するんだよ。」
私は(は?)と思った。Aちゃんと言えば、気が
きいて優しくて、穏やかで、物静かだけれど、実
は仕事もできて、多くの営業さん、SEさんから
好かれている人気者である。
 そして、彼といえば何とも頼りない営業で、客
先ではいつも私がはらはらして機械のセットアッ
プから、お客様に対する説明ま見ていられなくて
結局、私が出しゃばってしまう、という・・・ちょ
っと子供みたいな人、という印象だった。
 そうそう、研修で一緒に大阪のホテルに泊まっ
たとき、彼は部屋の中にキーを忘れて廊下に出て
しまい部屋に入れなくなって、浴衣姿で私の部屋
に助けを求めにきたことがある。風呂上りの浴衣
姿で廊下に立っているのがあまりにも可哀相だっ
たので、
「とりあえず、入りなさいよ!」
と言ったら、
「え?いーの?!」
とものすごく驚いていた。(当時の私には、その
意味がわからなかった)。で、
「いいから、とにかく早く入って!」
と風呂上りの彼を部屋に招き入れて、フロントに
電話をかけて助けてあげた。そういうちょっとボ
ンヤリした奴なのだ。
 彼がAちゃんと仲良しなのは知っていた。海で
もスキーでもいつも一緒だ。しかし・・・いくら
Aちゃんが優しいからといって、よりによって、
この人を選ぶだろうか?
 それで、彼が「結婚する」と断言しているにも
関わらず、疎い私は
「ありえない。あの優秀でステキなAちゃんが
あなたと結婚するなんて!」
と一笑に付して東京に帰ってきた。
 はたして、私は東京の事務所でAちゃんをつか
まえて、
「ねーねー、X君がAちゃんと結婚するとか寝ぼ
けたことを言ってたよ。そんなわけないよね?
だって、あの大ボケX君としっかり者のAちゃん
がねー!」
などと、さんざんX君をけなし、すっかり、その
ことを忘れていたら・・・数か月後に本当に2人
は結婚してしまった。2次会の帰り、タキシード
姿のX君に、
「akiraちゃんは一番信頼できる友達だから、オレ、
一番最初に結婚を報告したのに信じないんだもん
なー。親の次くらいに早く報告したんだぜ。」
と大いに笑われた。すみません・・・
 Aちゃんからも、その後、
「akiraちゃんは出張で彼の営業所に行くたびに、
いかに彼がダメで情けないのか、という話しかし
ないので、とても付き合ってるなんて言えなかっ
た。自分の彼氏をあんなにけなされたのは初めて」
と苦笑され、本当に本当に申し訳ない気持ちになっ
た。疎いにも程がある・・・
 ただし、1つだけ良かったのは、この事件が部署
の中で有名になり、先輩の営業さん、SEさんから
は「あっぱれ」と褒められたことだ。皆、Aちゃん
を狙っていたから、
「あの要領の悪いXのやつにかすめ取られるとは!」
と悔しくてたまらなかったのだ。
「akira!よくぞ、言ってくれた!お前は正しい!
その気持ち、よくわかる!しかも面白い!」
と。・・・本当に正しかったのだろうか。
 はたして、現在、X君は大変な出世をし、ヘッド
ハンティングで転職して、後輩たちからも、
「あの人はすごい」
と言われるまでになった。そのたびに、私は、
「それはね、Aちゃんがしっかりしてるからよ」
と悔しまぎれに言うのだが、本当にX君は立派にな
った。えらい。Aちゃんもえらい。Aちゃんと私は
今も仲良しで、数年に1回だけれど会って子どもの
話で盛り上がる。そして、会うたびに、私は当時の
自分の暴言をお詫びするのだ。もちろん、優しいA
ちゃんは、
「いいの、いいの。akiraがそう言いたかったのも
わかるよ。」
と静かに慰めてくれる。相変わらず穏やかで、もの
静かで優しくて癒される。私が嫁さんにもらいたか
ったくらいだ(と、私は友達の秘書全員に言ってい
る)。
 ・・・なんて話をしていたら、パパが私をたしな
めるように言った。
「結婚はさ、仕事ができるとかできないとか、頭が
良いとか悪いとかじゃなくてさ、価値観が合うとか、
話しやすい、とか、一緒にいると安心する、癒され
るとか、そういうのが大切だからな。」
そんなことは、今はわかっている。でも、当時はわ
からなかった。仕事がバリバリできる、かっこいー
人でないと嫌だった。
 そして、結婚することで大きく成長する男性がい
ることも想像できなかった。ああ、子どもだったな
あ。本当にX君、ごめんなさい。今のあなたは立派
で頼もしく、ステキです。夫婦ともに大切なお友達
です。いつまでもお幸せに。

by akira_dai | 2016-10-21 09:45

AKIRAの日常、考えたこと、など。平凡です。