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大人だった彼

 最近、色々変化が多くて、さまざまな人生模様
を他人事で聞いているうちに、記憶の彼方にすっ
かり置き去りになっていた、ちょっと刺激的な友
達の話を思い出した。
 あのときは、私はこちら側ではなく「あちら側」
にいた。私は学生だった。
 理系大学ということもあり、周りにはどちらか
というと純情な、女性慣れしていない男子が多く、
そんな中にも、自称経験豊富を自慢するようなバ
カみたいな奴もいた。A君はそんな奴の中の1人
で、純情な子どもっぽい同級生をつかまえては、
「女なんてのはな、こーで、あーで・・」
とうんちくを語ったりするしょうもない人だった。
 ある日、A君は、寡黙で純情なX君が、車の助
手席に女性を乗せているのを発見したらしい。
それ以降、
「彼女、どんな子なの?どこの女子大?」
「何歳?何年つきあってるの?」
と、やたら頻繁に、ここには書けないようなこと
まで、大っぴらに突っ込むようになった。
 優しくて寡黙なX君は、その話題になるたびに、
そんなA君を軽く、「いやいやいや」といなして
いた。
 A君は、先輩面して、女性の扱い方を、純情な
X君に教えてあげたかったようだけれど、私は、
知っていた。X君は、実は、家庭教師の教え子の
母親と付き合っていたのである。どうも、母親の
方が気に入ってしまって、純情なX君はいちころ
だったらしい。2人でいるときに、ご主人が帰宅
したこともあり、会う時間もままならず、もちろ
ん、同級生に紹介するわけにもいかず、それで、
A君の突っ込みに、何ら答えるわけにもかず、
怒るわけにもいかず、にやにやしてとぼける他
なかったのである。
 付き合っていた相手は30代だった。さぞ、
辛かっただろうと思う。よくぞ、4年間、付き
合ったと思う。
 A君は、さまざまな女子大の女の子との付き
合いを大げさに自慢し、X君に対しても上から
目線であれこれと説教していたけれど、実は、
X君は、それよりも遥かに重い大人の恋愛に苦
しんでいたわけだ。しかも、それを周りに吹聴
することはなかった。相談することもなかった
私が知ったのは偶然だ。本人は、私がこの事実
を知っていることを知らない。X君は大人だっ
た。独りで背負った。
 そんなことを思い出して、今の私が思うのは、
誰もが知らないところで、思いがけない人が、
想像を絶するような辛い経験に、たった今、
苦しんでいるかもしれないということで、そう
いう人に対して、えらそうに説教したり自慢し
たり、、世界一不幸だみたいな愚痴を言ったり
するのは、ばかげているかもしれないな、とい
うこと。ばかげていると思えば、私もちょっ
とは自分を戒められるというものだ。
 誰もが自分が一番がんばっていて、一番辛
くて、場合によっては一番不幸で、と思って
いるかもしれない。他人と付き合うときには
それくらいに思っていた方がうまくいく気が
するな。

by akira_dai | 2016-10-27 21:30

AKIRAの日常、考えたこと、など。平凡です。