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雨の日の学校の図書室と純文学と

 本当にここ数日、涼しいし湿度も低いし、
過ごしやすく、今日はお天気は悪いけれど、
これから良いことがありそうだな~という
穏やかな気持ちの朝を迎えています。皆も
同じような気持ちで目覚めてるといいなあ。
 小学校でも中学校でも高校でも、雨の
日の通学というのは憂鬱で、傘をさして
いるというのに少々雨に濡れ、じっとり
汗ばんで、滑りやすい廊下を注意深く歩
いて教室に入ると湿った木の匂いがして、
同級生のざわめきがあって、そこでやっ
と、(今日も学校に来られたな。)と安
堵したものです。
 休み時間は外で遊べないから、全員が
教室にいて、ものすごく騒がしいのね。
中学生なんかは子供で血気盛んだから、
時には男子の間でもめごとが起きて、
(面倒くさいなー)
と思ったり、女子は女子でアホみたいに
トイレの鏡の前でずっと髪の毛をいじっ
ているし、私はといえば、自分の席で友
達と意味のないお喋りをしているのがほ
とんどなんだけれど、時々、一人になり
たくて、図書室に逃げていました。
 図書室、中学以降は、ほとんど人がい
ないんですよ。小学校の図書室は賑わっ
ているのに、どうして中学以降の図書室
は閑散としているのでしょうか。高校の
図書室なんか、本当に誰もいなくて、司
書のおばちゃんが座っているだけでした。
とにかく、雨の日の昼休みに、誰にも気
付かれないようにコッソリ教室を出て、
図書室に移動し、大きめのテーブルで本
をかじり読みするんです。「かじり読み」
ってのはね、タイトルから面白そうな本
を手にとって、ページをバラバラッとし
ながら、目に付いた一文や、面白そうな
特定の章だけを読むんです。飽きたら、
またすぐ別の本を探すの。背表紙のタイ
トルだけで選ぶんです。そして、かじり
読みで満足できない時にはそのまま借り
て、家で続きを読むのが好きでした。
 希に、いつも私のことをからかう幼い
男子がついてきてからかおうとするんだ
けど、さすがに図書室だと大声を出せな
いから、入口でUターンするんです。そ
ういえば不良の中の不良!みたいな連中
は時々顔を出しましたね。でも、やはり
そこで、本棚をひっくり返すとか、本を
全部びりびりに破る、とか、そういう暴
挙には出なかったね。誰もいないから、
アピールする相手がいなくてつまらなか
ったのかもしれません。
 そんなわけで、普段、(あいつら面倒
くさいなー)と思うような男子も女子も、
本に興味のない人は図書室の中まで入っ
てこれないので、そして当時、本に興味
がある人はごくごく少数だったので、そ
れが本当に良かったです。(ここは私だ
けの場所!)みたいな感じだね。
 今でも覚えているけれど、中学の図書
室は入口から入って真っ直ぐいった突き
当りに、日本文学の名作シリーズ文庫が
並んでいたんです。すべて、うぐいす色
の表紙にタイトルと作者名だけが書かれ
たシンプルな装丁で、夏目漱石や森鴎外
はもちろん、武者小路実篤、有島武郎、
太宰治、芥川龍之介、、、と色々ある中
に、川端康成の「雪国」や「伊豆の踊子」
がありました。
 皆さんもご存知かもしれませんが、「雪
国」の冒頭の部分は高校受験によく出題さ
れる部分で、
「この冒頭は、何の小説か」
みたいな問題もよく出題されていたのね。
 で、私はそういう試験の問題で文章を読
んだ時に、(すごくカッコイー!)と思っ
て、すぐに「雪国」を手に取ったんですよ。
~国境の長いトンネルを抜けると雪国であ
った。夜の底が白くなった~
という表現から、風景が見えるようでワク
ワクしたんだね。
 ところが実際に、ある昼休みに読んでみ
たら・・・まったくストーリーが進まない。
で、どこかで面白くなるかもしれないと思
って借りて何とか最後まで読み切ったけれ
ど意味がわからない・・・純文学は、大き
な事件や伏線があるわけでもなく、淡々と
情景が綴られるだけのものが多いので退屈
でした。ガッカリしました。それでも懲り
ずに、当時、悲恋小説として有名だった
「伊豆の踊子」にも手を出したのですが、
、、やはり意味がわからない。淡い恋心を
主人公が抱いているのはわかっても、何か
進展があるわけでもなく、ただ主人公の心
情がだらだらと書いてあるだけ。またもや
がっくりきましたね。
 そんな風に、子供には意味のわからない
情緒的な風景や心情だけが語られた純文学
の文章が醸し出す「雰囲気」は、雨の日の
静けさや寂しさや孤独に染み入って、思春
期の私のささくれだった気持ちを慰めてく
れたものです。読書に集中している間は、
鬱陶しい同級生との関わりも一切なく、没
頭できるのも良かった。
 雨の日、殊に秋の図書室は良いですよ。
一人になれる。でも、この年になると、そ
ういう場所はなかなかないね。市立図書館
は静かだけれど人がいっぱいです。誰もい
ない、膨大な本だけが並んでいる、学校の
図書室の無機質な感じが好きでした。
 

by akira_dai | 2017-09-06 09:05

AKIRAの日常、考えたこと、など。平凡です。